左手の握手(The Left Hand Shake)

 ガールスカウト(ボーイスカウトも同じ)の左手で握手、右手でサインについて「何故だろう?」と思っている人もあるかと思います。そこで少し調べてみました。この理由については、ベーデンポウエルさんが生前、キャンプの小話として良くスカウトに話されていたようです。それが年を経るに従い、いろいろな説が出ていたらしく、レディ・B-Pが1970年にご自分で出版物に書かれておられました。それを掲載します。訳は意訳です。もっと適切な言葉や文章があれば是非ご指南いただきたく、お願い申し上げておきます。
The Left Hand Shake  (by Lady Baden-Powell)

"Truth is stranger than fiction".
"When my husband was in West Africa on that campaign in 1895-96 he heard of the legend of two tribes who lived next door to one another and were always having trouble and even wars between them. This was very bad and disastrous for both, with cattle thieving and so on.
"Then the very fine Chief of one of them realising how wrong it was, gathered his councillors together and they then decided not to have fighting again, but to try to come to terms with their warrior neighbours.
"So when, afer a time, the enemy came advancing towards them expecting them also to advance and start fighting, this good army stood still instead of advancing to attack back.
There was a code of honour which said that an un-armed man who could not defend himself was never attacked, so this good chief of the peace-loving tribe dropped his arms and walked slowly out ahead of his men and after standing alone for a moment walked towards the enemy (who had stopped with surprise at this unexpected turn of events) and, holding out his left hand after flinging down his shield and spears, said:
"I come unarmed and I hold out my left hand to you as a sign of friendship and trust.
We are neighbours and should not live in enmity. From now on we wish to live in peace and we trust you do do the same and to be friends."
"Well, all those years later when my husband founded the Boy Scouts he knew that boys and girls like secret signs and so he suggested that we should have and use this "secret sign" of shaking hands differently from the ordinary way. As we all in our Movement truly trust each other, this method of our own shaking with the left hand instead of the right, would be used throughout the movement.
The Left hand is nearer to the heart.
"Whether it is true or not, I for one know that the friendship part of it is as true for our Movement as it was for those tribes of long ago; and please God it will always remain part of the backdrop and essence of Scouting and Guiding".
左手の握手(The Left Hand Shake)
スカウトと左手握手するB-P

『左手握手』 (レディ・ベーデン・ポウエル)

 事実は時には小説よりも奇なことがあります。
話は、1895~96年、私の主人が西アフリカで従軍中、その国の隣り合う二つの種族が、いつも問題を起こし互いに戦争までしていたということから始ります。その種族たちは、牛を盗んだりその他事態は最悪で二者間は壊滅的な状態が続いていました。
しかし、ある時、彼らの中の優れた酋長がこの関係が如何に間違っているかを理解したのでした。彼は部下の代表を集め、無用な戦争を二度としないと決め、隣の種族の戦士にも合意してもらうことを試みることにしました。

そして、またいつものような戦いの状態になった時、敵は相手も前進して戦争になるものと予想し、彼らは前に向かって進んできました。しかし、戦いをしないと決めた方の戦士たちは攻撃をひかえ、前進しないで静止しています。

この国には戦争時にも、自分の身を守る武器を持たない人を攻撃してはならないという鉄則がありました。

平和を愛する種族の酋長は、盾と槍を持った手を下にさげたままゆっくりと彼の部下の前を歩き出しました。しばらく歩いたあと、敵の目前に一人だけで立ちました。(敵は予想外の変わった出来事に驚き、止まったままです)酋長は自分の盾と槍を放り投げた後、彼の左手を差し出して言いました、

「私は武装していない。私は友好と信頼の証として、あなたに私の左手を差し出す。我々は隣人だ、敵意を持って生活することは出来ない。今後我々は平和的に生活したい。そしてあなたたちも同じように友好的になることを望んでいると信じている。」

さて、後年私の主人がボーイスカウトを設立したとき、少年少女にも何か秘密のサインのようなものを使いたいと思っていました。そして、普通の方法とは違うこの左手握手を「秘密のサイン」として使うことを思いついたのでした。

本当に信頼しているもの同志である我々は、右手の代わりに左手で握手する独自の方法を、全ての人が運動を通して使用していくことになったのです。

左手はより心臓に近いですしね。

これが正しいか正しくないかに関係なく、その昔、種族の平和のためであったことと同じように、我々運動する者の信頼の証であり、またこれは友好の表現であると思います。どうか、この話の背景をこのまま残してください、そしてこれがスカウティングとガイディングの本質でもあるのです。


 もうお解かりの人が多いと思いますが、普通右手に槍、左手に盾を持ちます。槍は攻撃、盾は守備。左手の守備を放棄するというのは相手が攻撃しないことを前提にしないと出来ません。たとえ槍を捨てても、盾を持っている以上、相手の攻撃を予測していることになります。左手の盾を捨てることは相手を信頼している表れであるということになるのでしょうね。


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この記事へのコメント
応援有難うございます。とっても嬉しいですね、ガンバリマ~ス
Posted by thankyou at 2010年02月05日 07:36
お世話になります。
ボーイ隊で進級章を授与する際に、握手します。
左手での握手を不思議に思う方も見えるので探していたら、このページを見つけました。
ボーイとガールでは元をたどればB-Pに行きつくので、無断でこのパージにリンクを貼らせていただきました。
後先逆になりましたが、ご了解よろしくお願いいたします。
Posted by ボーイスカウト江南第1団BS隊 at 2017年04月05日 14:59
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